米国エネルギー省は11月7日、Vehicle-to-Grid(V2G)技術に対応した次世代充電インフラの全米展開に向け、今後5年間で総額100億ドル(約1.5兆円)を投資する計画を正式に承認した。この投資により、2030年までに全米50万箇所にV2G対応双方向充電器を設置し、EVを分散型蓄電池として活用する「バーチャル発電所」ネットワークを構築する。V2G技術は、EVのバッテリーに蓄えた電力を電力網に供給することで、ピーク時の電力需要を平準化し、再生可能エネルギーの変動を吸収する役割を果たす。エネルギー省の試算では、500万台のEVがV2Gシステムに参加すれば、合計75GWの電力供給能力を持つことになり、これは大型火力発電所75基分に相当する。EV所有者は余剰電力を電力会社に売却することで、年間最大2000ドルの収入を得られる見込み。グリーンエナジー政策を推進する政権は「V2Gはクリーンエネルギー社会実現の基盤技術であり、EVの経済的メリットを飛躍的に高める」と強調した。自動車業界では、フォード、GM、テスラなど主要メーカーがV2G対応車両の開発を加速させており、2026年以降の新型EVには標準搭載される見通しだ。
- 記事提供
- ブルームバーグ
- 公開日
- 2025-11-07