EV充電器6,670基が動かない韓国、設置数より稼働率が問われる時代

ニュースの概要

韓国国会の資料分析で、政府が過去6年間にEV充電インフラの整備へ投じた補助金は合計1兆6,695億ウォンに上ることが分かった。ところがそのうち6,670基は、事業者の廃業や事業停止などの理由で動いていない、あるいは運用が止まった状態にある。さらに、未稼働となった事業者4社に交付された約298億ウォンの補助金は、回収できるかどうかも見通せない。指摘した議員は、台数を増やすことだけを成果とせず、利用者がいつでも使える状態を保つ仕組みを整えるべきだと訴えている。設置後の面倒を誰が見るのかという、インフラ政策の盲点が表面化した形だ。

引用元: 政府補助で設置したEV充電器6,670基が未稼働、韓国で管理体制に課題(Newspim)

分析・見解

補助金は設置の瞬間に役目を終えてしまう

今回の問題の根は、補助金の設計にある。多くの制度は、機器を買って工事を終えた時点で支払いが済む。つまり、お金が動く山場は設置の日であり、その後の10年の運用にはほとんど資金が付いていない。

充電器は置いて終わりの家具ではない。通信機器、決済機能、電力契約、保守要員がそろって初めて動く設備である。設置時点だけを評価する制度では、運用に必要な費用を負担する動機が事業者に生まれにくい。

事業者の廃業が、そのまま設備の停止につながる構造

充電事業は、車の普及が追い付くまでの数年間は赤字になりやすい。利用が少ない場所では、電気の基本料金や通信費だけで収入を上回る。体力の乏しい小規模事業者は、この谷を越えられず撤退する。

撤退すると、機器は現場に残ったまま誰の管理下にもなくなる。故障しても直す人がおらず、通信契約が切れて画面も動かない。6,670基という数字は、こうした「持ち主のいない設備」が大量に生まれた結果といえる。

ガソリンスタンドと比べると違いが分かる。給油所は燃料の販売で安定した収入があり、設備維持の費用を賄える。充電器の多くは、その収益の柱を持たないまま乱立した。

数の目標が、質の劣化を見えなくした

行政は「何基設置したか」を成果として示しやすい。台数は数えやすく、報告にも向く。一方で「何基が先月ちゃんと使えたか」は、集計の手間がかかるため後回しになりやすい。

日本でも、充電器の故障や表示の不具合で利用者が使えなかったという声は繰り返し報じられている。台数の目標だけを追うと、使えない設備が統計の上では存在し続ける。ここに、数字と実感のずれが生まれる。

回収できない補助金が示す、契約設計の甘さ

約298億ウォンの回収が不透明という点は重い。補助金の返還義務を定めていても、事業者が破綻すれば取り立てる相手がいなくなる。担保や保証金を求める仕組み、あるいは運用実績に応じて段階的に支払う方式がなければ、同じことが繰り返される。

これは韓国だけの話ではなく、補助金で民間のインフラ整備を促すあらゆる国に共通する弱点である。

ビジネスへの影響

充電事業に参入する企業は、運用費まで含めて採算を組む

これから充電器を設置する企業は、補助金を前提に事業計画を立てないことが重要になる。補助金は初期費用を軽くするだけで、電気代、通信費、保守契約、決済手数料は毎月かかり続ける。

利用率が低い期間を3年から5年見込み、その間の赤字を耐えられるかを先に試算しておきたい。耐えられないなら、小さく始めて利用状況を見ながら増やす方が安全である。

設置場所を貸す側は、撤退時の取り決めを契約に入れる

商業施設や宿泊施設、マンションの管理組合などが敷地を提供する場合、事業者が撤退した後の扱いを契約書に明記しておく。機器の撤去責任、撤去費用の負担、一定期間の保守継続などである。

これを決めていないと、使えない機器が駐車場の一角を占め続け、施設の印象まで損なう。設置を受け入れる前に、運営会社の財務状況や保守体制を確認することも欠かせない。

自治体と企業は、稼働率を共通の物差しにする

自治体が補助を出す側に立つなら、設置台数に加えて、月ごとの稼働状況の報告を条件にするとよい。民間企業も、自社の充電器の故障率や復旧までの日数を公開すれば、利用者の信頼を得やすくなる。

充電器は、使えると分かっている場所にだけ人が集まる。台数より「確実に使えること」を売りにする事業者が、結果として選ばれていくだろう。

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